芸術と美食

実家の本棚整理をしていて、良い本を見つけました。
「ロートレックの料理法」
ロートレックは南仏生まれの画家で、踊り子や夜の女性たちを
活き活きと描くことで有名です。
ポスターやリトグラフの力強い線や色の配置のイメージは
日本美術、浮世絵等の影響も受けていると思います。
ロートレックのアトリエには本格的なバーがあり、
訪れる人にカクテルを振る舞えるようになっていて、
芸術仲間やダンスホールの踊り子、画商、ブルジョワ貴族といった
友人の中で即席で魅力的な料理を発明するゲームのリーダーだったとか。
パラパラとめくると、料理写真は無く、
レシピの文字とロートレックが夜のモンマルトルで描いた人々の
線描スケッチが添えてあります。
「野うさぎの巣ごもり風オリーブ添え」とか
「川カマスの切り身焼き フィンランドのカジャナ風」とか
「修道女のおなら(揚げせんべい)」とか
これはなかなかビジュアルが想像できない…
そしてワイルドでまさに「美食」なのかな、
「羊の野外丸焼き」とか
「雛山鳩 オリーブ添え」とか
しまいには「リス」というレシピもありました。
ちょっと恐い。
この本はもともと、幼馴染のジョワイヤンが
ロートレックが書き遺した記述を整理集成して発行した、
美食を通じての友情の証のような本。
芸術と食の関係は、きっとこの本のように
熱い友情で結ばれている。
「絵の鑑賞にはカクテルが欠かせない」という
ロートレックの言葉もとても気に入りました。